K様邸 篠田桃紅
書家のK様は筋金入りの篠田桃紅コレクターである。ご本人曰く高校生の頃からのファンだそうだ。K少年は、篠田桃紅が単身ニューヨークに渡り、書家から抽象作家へと華々しい転進と遂げ、時の人となったその頃誕生した。(すみません。あくまで推測です。)書を起源として国際的に活躍するアーティスト、篠田桃紅はK少年にとって大変刺激的な存在であっただろう。
真のコレクターとは大変慎み深いものである。いつだったか、篠田桃紅展のオープニングの際、K様を篠田先生にご紹介しようとすると「私はいいです。」とお断りになった。遠巻きに先生を眺めているだけで満足出来るのもファンならではの真理である。
K様のアトリエには、篠田コレクションの中でも特に現在のお気に入り3点が壁面を飾っている。金箔の秀作を中心に左右を金糸で織られたK様こだわりの額装で、調和のとれた大変素晴らしいプレゼンテーションであると同時にK様の作品に対する深い愛情が感じられる。