K様邸 篠田桃紅
水戸の偕楽園は金沢の兼六園・岡山の後楽園とともに日本三名園のひとつに数えられており、江戸時代天保13年(1842年)7月、水戸藩第9代藩主徳川斉昭公により、領民の休養の場所として開園されました。園内には約100品種3,000本もの梅が、春の訪れを告げるかのように可憐に咲き競います。
そんな偕楽園の敷地と並行してK様邸は優雅に佇んでいます。ご自宅の玄関を開けると真正面に飛び込んで来たのは、横長の力強い篠田桃紅86歳の作。K様は20年ほど前に銀座のギャラリーで買い求めたそうですが、偶然、篠田先生が会場にいらっしゃり、こちらの作品を「外に向かって広がる感じが貴女のようね。」とお薦め下さったそうです。1980年代に篠田桃紅の作品と出会い、それ以来のファンで、少しずつ収集して来られたそうです。篠田先生にどことなく似たスレンダーで美しい佇まいのK様。
手入れの行き届いた美しい庭園に囲まれたご自宅は四季折々の花が咲き、ご友人がシーズン毎に訪ねて来られるそうです。食器や調度品もK様の感性が随所に感じられる★★★★★星のご自宅でした。
お玄関手前の作品「Solitary Journal」は、人が生きていく上で避けられない孤独に立ち向かっていく姿勢を示してくれる、とおっしゃるK様。「私はこのように生きてきた。あなたはどう生きていくの?」と問いかけられている気がすると言う。