ジャン・ジャンセン作品展 ―静けさの中で―
開催期間:2010年09月08日~ 2011年09月28日開催場所:ギャラリーサンカイビ
孤高の画家、ジャン・ジャンセン (Jean Jansem) が描く素描画展です。
ジャン・ジャンセンはフランスで活躍するアルメニア人画家。卓越したデッサン力により人物や静物など様々なテーマを独自の視点で画面に捕え、世界的に高い評価を受けています。日本では東京と安曇野にそれぞれ作品を常設展示する美術館が設立され、生地、アルメニアにもジャンセン美術館が誕生する予定です。アルメニア正教やアルメニア人大虐殺をテーマにするなど、人種的、民族的なテーマも多く、故国アルメニアの国家勲章を受章。また、フランス在住画家としての功績も認められ、レジオン・ド・ヌール勲章も受章しています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ジャンセンの描く素描画は、よくエゴン・シーレやロートレックなどと比較され称賛されていますが、実はジャンセンの潜在意識の中にあるのは、ピカソやブラックを代表とするキュービズム的な思考なのです。伝統的な遠近法や肉付け法を否定し、対象を多角的に解体し、細分化して再構成することで、絵画を外界から自律したイメージとリズムを持つ世界へと作り上げた運動です。
ジャンセンは対象を多角的に表面上解体せずして、如何に具象的な対象を多角的に捕えるかという命題に取組んできました。見えない対象の先にあるものが一体何なのか、対象の奥に隠されているものが何であろうか、常に見えない対象に対して忠実に、そして熱心に五感を傾けて来たのです。
それは、ジャンセンの絵の描き方にもその痕跡が読み取れます。ジャンセンは画面の対象を線のみで描いていきます。背景と対象は常に同じ色彩の中に混在し、最後の一筆で、背景と対象が引き離され、対象に命が吹き込まれるのです。その鮮やかな筆さばきは、対象を十二分に理解し、卓越したデッサン力を備えたジャンセンだからこそ可能な業なのです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今展覧会では、ジャンセンの素描画約12点を展示致します。(会期中展示替え有り)
1920年生まれ、御年92歳になるジャン・ジャンセンの時代とともに変遷する絵画をご高覧下さい。