山田浩司作品展―WONDERLAND
開催期間:2010年02月25日~ 2010年03月17日開催場所:ギャラリーサンカイビ
蜜を求め花を渡り歩く虫は、知らぬうちに花粉を媒介し、花に実を結ばせる。作品は、虫を誘う植物のように、人を引き寄せるオブジェでありたい――山田浩司はこう語り、緻密でありながらシンプルな、美しい作品を生み出している。
山田の作品は、命の存在感をシンボリックに表現する。可能性を秘めた種子や、命を湛えた花、成熟しきった果実であるようにも見える。観る者の想いや、記憶、心の震えを喚起し、吸収して、実るオブジェ。そこには生命の循環の物語があり、宇宙がちいさな営みの集積によって成り立っていることを感じることができる。
山田の作品はとにかく造形がユニークで美しいが、素材の面白さにも注目していただきたい。例えば蜂の巣のようなオブジェは、一見すると本当に昆虫が作った、生物の営みの結晶のようであるが、蝋引き紙によって作られたものだ。つるりとした石ころのようなオブジェは、硬い殻で覆われた果実か種子か、時の流れに洗われて磨かれた鉱物のようだが、実は樹脂で丁寧に作られたものだ。山田の手によって生み出された芸術は、自然そのもののようでいて人為的で、古びているようでみずみずしく、静かでありながら今に動き出しそうで、ファンタジーと現実の境界を曖昧にする。
想像力豊かで好奇心旺盛な、少年のような集中力で作られた小宇宙を、是非体感しにご来廊ください。
山田浩司 -Koji Yamada- 略歴 | |
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1974 | 東京生まれ |
1993 | 都立芸術高等学校 美術科油画専攻 卒業 |
1999 | 多摩美術大学 美術学部絵画科油画専攻 卒業 |
個展 | |
2003 | フタバ画廊(東京/銀座) |
2004 | ガレリア・グラフィカbis(東京/銀座) |
2005 | 潺画廊(東京/世田谷) |
2006 | 潺画廊(東京/世田谷) |
2008 | ギンザ・コマツ・アートスペース (東京/銀座) ポラリス・ジ・アートステージ(神奈川/鎌倉) 潺画廊(東京/世田谷) |
グループ展等 | |
2007 | アートフェア東京2007(東京国際フォーラム) |
2009 | アートフェア東京2009(東京国際フォーラム) |
その他 | |
1999 | 多摩美術大学 卒業制作にて福沢一郎賞 |
2003 | 第18回 ホルベイン・スカラシップ奨学生 |
2004 | 第8回 資生堂 A D S P(Art Documents Support Program by SHISEIDO) |