樋口健彦展 かそけく faint
開催期間:2025年01月20日~ 2025年02月01日開催場所:ギャラリーサンカイビ
1/26(日)休廊
作家在廊日 1/20・1/25・2/1
Takehiko Higuchi Solo Exhibition
Reception&talk 1/20(月)17:30~19:00
樋口健彦×ゲスト 新見 隆 (武蔵野美術大学教授・同美術館図書館長)
「美は物体にあるのではなく、物体と物体との作り出す陰翳のあや、明暗にあると考える。」と谷崎潤一郎は語っている。美とは常に生活の実際から発達したもので、暗い部屋に住むことを余儀なくされた我々の先祖は,いつしか陰翳のうちに美を発見し,やがては美の目的にそうように陰翳を利用するに至った。樋口健彦の作品はまさに陰翳両極を持ち、作品自体を神聖な美の領域に落とし込んだ唯一無二のアーティストである。樋口は今まで公共建築に関わる多くの仕事を手掛けてきた。そして今回12年ぶりの個展を弊廊で迎えられるのはこの上ない喜びである。
ギャラリーサンカイビ 平田美智子
黒く消えるか / 輝いて無くなるか
とりとめもなく気配のみ放つことはできるか
正しくは黒くて見てとれないモノ
光を全て跳ね返し挙句見えなくなってしまうモノ
「在る」けれど「無い」を感じるモノ
曖昧ながら表出していく「なさそげであるもの」
パラドックスに満ちた実験の常 世に放っていく
手工作的で画一されすぎない工芸的情緒
侘び寂びの精神を被せながら様々な場においていくこと
これが私の仕事です
樋口健彦
Will it fade to black, or glow and disappear?
Will it be able to emit only a vague presence?
To be precise, it is black and invisible.
Something that reflects all light and eventually becomes invisible.
Something that “is there” but feels “not there”.
A vague “non-existence”.
To be released into a world of experiments full of paradoxes.
Handmade and not too uniform, with a craftsmanship-like feeling.
To be covered in the spirit of wabi-sabi and placed in various places.
This is my work.
Takehiko Higuchi
宇宙的と言えば短絡的に過ぎるだろうが、一種、手作業と自分の肉体の時間を恬淡と見つめながら、そういう人間を超えた「非人間的なるもの」に近づこうとする、作家の肉声を見てきた。やがてそれも、静かに、澄んだ、澄み渡った彼岸への橋掛かりで終わる。そういう静寂もまた、この樋口の宇宙的炸裂の果てに、私はどうしても味わっていたい、と心から願っている。
「共感覚への旅 モダニズム・同時代論」新見隆著 (2024年アートダイバー発行)より抜粋
【プロフィール】
1993 | Artists in Residence Program Tama Life21東京 |
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1999 | Asian Artists Fellowship (U.S.A.) |
2004 | 多摩美術大学工芸学科非常勤講師~2017 |
1995 | GALLERY WHITE ART(個展) |
1996 | ギャラリー川船 (個展)‘97‘99‘02‘05‘08‘09’13 |
1997 | コバヤシ画廊企画室 (個展)‘97‘98 |
1998 | Contemporary Ceramics‘96 Gallery Art Present (Paris) 東京国際フォーラム エキシヴィジョンスペース(個展) |
1999 | Red Mill Gallery (U.S.A., Vermont)(個展) |
2000 | フィリップモリスアートアワード最終審査展(恵比寿ガーデンプレイス) They are Square, but Not too Formal. Robert Pardo Gallery (NY)(個展) |
2010 | 「モノ・黒」樋口健彦の仕事2005-2010平塚市美術館(個展) |
2016 | 生への言祝ぎ / インスタレーション十二の柱+出会いのパフォーマンス 大分県立美術館OPAM |
2018 | 黒と黒の深層/ゲーテの手 ギャラリー冊 墨SUMI-かたち・いろ 片山雅史・樋口健彦 福岡三越ギャラリー |
2021 | スイートヴィラ客室のための、15の棚 アートビオトープ那須 漆黒の奥行き Rich BLACK Exhibition(渋谷文化村ギャラリー) |
【Public 】
平塚市美術館 ・町田市立博物館・アルゼンチン近代美術館・Robert Pardo Gallery (NY)・INAXギャラリー二期リゾート ・立教大学付属中学高等学校音楽ホール(東京)・JRA新潟競馬場(新潟)・JALシティホテル(宮崎)・ラフォーレ新大阪(大阪) ・ホテルCLASKA (東京)・パレシオ五番町(東京)・ニチコン本社ビル(京都)・四谷タワーゲート[リカルド・トッサーニ設計](東京)・二期倶楽部(栃木)・早稲田大学大久保キャンパス(東京)・プラウド新浦安マリナテラス (千葉)・BERISUTA 藤沢(神奈川)・清水建設(千葉)・Bishopsgate Residence (シンガポール)・福岡済生会飯塚嘉穂病院(福岡)・明石リハビリテーション病院(兵庫)・東京農業大学(東京)・京葉銀行千葉みなと本部(千葉)・大阪高島屋南館 ・インターコンチネンタルホテル別府 ・亀有信用金庫 ほか