篠田桃紅展―致道博物館 創立60周年記念特別展プレビュー― 墨象作家 篠田桃紅の世界 ―サンカイビ・コレクション―
開催期間:2010年05月13日~ 2010年06月02日開催場所:ギャラリーサンカイビ
致道博物館の創立60周年を記念いたしまして、同館にて6月6日(日)より墨象作家、篠田桃紅の世界-文字とかたち-を開催いたします。展覧会に先立ちまして、今展の企画協力に携わっております私共、ギャラリー サンカイビでは、その貴重な出品作品の数々を先行してギャラリーにてご紹介いたします。
今年97歳を迎えた篠田桃紅は、幼少のころより書家であった父親の手ほどきを受け書に親しみ、墨の世界に魅せられていきます。下野雪堂に師事したのち、既成の書にとらわれない独自の抽象芸術を模索し、そのスタイルを切り開いていきます。1956年に単身渡米した後、ジャクソン・ポロックやマーク・ロスコーなどの美術家との交流がその後の人生に大きな影響を与えました。世界の芸術の中心地であったニューヨークの抽象表現主義と桃紅の墨象芸術とがあいまって開花し、世界中から高い注目を集めるに至ったのです。作品は大英博物館、グッゲンハイム美術館、東京国立近代美術館をはじめ、世界各地の美術館や公共建築に収蔵され、個展も多数開催されています。現在も生き生きとした新たな墨象の表現を求めて、歩みを止めることなく精力的に制作活動に励んでいます。
桃紅の名前は「桃紅李白薔薇紫」という中国の古い書物の詩からとられているのですが、真紅の桃の花が燃え立つさまを桃紅作品から想像せずにはいられません。また同時に豊穣な墨色の濃淡を醸し出す幽玄の世界、墨色を重ねて得られる恐ろしいほどの奥行きのある世界へと私たちを誘います。どうぞこの機会にご高覧下さいますよう、ご案内申し上げます。