PARIS レポートNo.2
2002.05/オーストリア
レポーター/
平田美智子
大変おたせいたしました。ようやく皆様にブランドナーをご紹介できます。
< ブランドナー訪問 >
  オーストリアの画家レインハート・ブランドナーは自らを“光の仕掛け人”と呼ぶように、彼の作品にとって“光”は極めて重要な要素である。「光はあらゆる命の源である。それがなければ、世界は闇と寒さだけになってしまう。」とブランドナーは考える。
  そもそも絵筆で「光を捕らえたい。」という気持ちが彼の創作意欲の発端である。カラフルな色彩や金箔・銀箔を使って封じこめられた光は見事なイリュージョンを見せて私達を魅了してくれる。

  ブランドナーは光を捕まえるために世界中を旅して廻っている。一年のうちの数ヶ月を過ごすギリシャの無人島をはじめ、自分のヨットに乗って数多くの国々を訪れる。画家というよりむしろ冒険家といった方がふさわしいくらいだ。旅先での光景は画家のイマジネーションを膨らませ、時として神秘的な幻想世界へと誘う。未知の大陸アトランティス、海底に沈んだ財宝、宇宙・・・。ブランドナーは夢の中で自由に泳ぎまわっている。まるで好奇心旺盛な少年のように。

  作品手法も彼らしくユニークである。原画には旅で持ち帰った砂・石などを素材に使う。また版画においては、「マニュグラフィー」という手法をとる。これは「マニュアル」(手作業の意) + 「グラフィック」の合成語であり、ブランドナーが独自に編み出したものである。技法的にはシルクスクリーンに分類されるが、目止め等をせず直接フリーハンドで一枚ずつ版にインクを塗りこみプリントしていくので、仕上がりの色・形が微妙に違ってくる。よって、エディションが100枚あっても、全てが違う手作りの1点物と言える。作品に対する愛情は人一倍強く、自然派らしく大量生産・機械的な創作は好まない。

  世界各国に多くのファンを持つブランドナーだが、中でも一番の著名人は世界的指揮者・カラヤンであろう。個展に感動したカラヤンが、自らの強い希望によりCD (独・グラモフォン社) ジャケットに多数起用している。
  また、生命感・プラス思考あふれる作品は癒しの効果が認められており、ヨーロッパのクリニックでは彼の絵画やオブジェを置いている所も多い。ヒーリング・アートとしても高く評価されている。

  ブランドナーの “光” の芸術は、生命本来の輝きを追求している。そして作品は観る者を元気づけてくれ、明るい未来を思い描かせてくれる。

●ブランドナー略歴
●ブランドナー作品


●ブランドナーのアトリエ



●ヨットで世界を旅するブランドナー



●カラヤンのCDジャケットを制作




   
                          ●マニュグラフィーの制作風景

●最愛の奥様と。
★パリレポート表題