PARIS レポートNo.3
2002.10/フランス
レポーター/
平田美智子
このアトリエで描かれた作品が11/28〜の展覧会で紹介されるんだ!
< ガントナー/アトリエ訪問 > P.2/2
  −ガントナー「雪」展にあたって−
 (つづき) ガントナー「雪」展に展示する作品を選び終えたその頃、ガントナー夫人が昼食の準備が整った旨を知らせにやって来た。ガントナー氏は食堂へと移動する間、展示してある美術品の説明をしてくれる。どれも大変高価な作品であることが伺える。
 ガントナー氏は「現代に生きるバルビゾン作家」と言われているが、ご本人もバルビゾン作家に大変造詣が深いようである。壁にはコロー、ドービニー、ルソーなどの油彩が所狭しと展示されている。また古書や古美術の収集家としても有名である。彼は非常に学者肌の芸術家である。
 
食事を終えて一段落してから、我々はアルザス地方へとガントナー氏の運転する車で出発した。氏のアトリエから車で約2時間の道のりである。アルザス地方は第二次世界大戦中、ドイツ軍に占拠された地であり、私も小学生の国語の教科書で「最後の授業」という短編を読んだことを思い出した。ある日突然、ドイツ軍が平和な村に侵攻し、校長が生徒達に明日からの授業はドイツ語になる旨、しんみりと生徒たちに伝えるシーンが回想される。
 このような悲惨な歴史だけではなく、アルザス地方はドイツの影響をいろいろな方面から受けている。食べ物、町の美観、住民性などなど。私もアルザス地方出身のフランス人を何人か知っているが、彼らは大変優秀で努力家だ。南仏の人々と違ってある意味フランス国内では堅物と思われてしまいそうだが、とても信頼できる友人ばかりである。
 さて、ご両親がアルザス地方出身ということもあり、ガントナー氏はアルザスの風景を多く描いている。道すがら車を止めては「ここから見える山の雪風景はすばらしい。昔、若いころ絵にしたんだ。」と自分史を語ってくれる。
 今回の旅では、ガントナー氏の描く「風景」に携わる多くのヒントを得たような気がした。あの繊細な木々の線、粉雪のようなきらきらした美しい白、真っ赤に染まった朝焼け、どれもガントナー氏の周辺に見つけることのできるヒントである。この地を愛するガントナー氏の気持ちの一端に触れたような旅であった。
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もっと詳しくガントナー↓

●ガントナー略歴
●ガントナー作品紹介
●ガントナー「雪」展
●ガントナー氏のアトリエ

アトリエを覗くと通常作家の人となりが伺える。アトリエは整理整頓され、絵具がパレット上で忠実に列を配する。すべてに無駄がない。



●ガントナーご夫妻と
(お庭にて)

前回お会いした際、「今度はいっしょに旅行にいきましょう。」とお誘いを受けた。私は社交辞令だとばかり思っていたが、事前に手配して頂き、アルザス地方に一泊旅行に出かけた。↓
                             


アルザス地方はご両親の出身地でもあり、ガントナーの描く世界が広がっている。
★パリレポート表題