『オルフェオとエウリディス』by ピナ・バウシュ
妻エウリディスを亡くしたオルフェオは、妻を蘇らせるために神々に懇願します。そこに愛の神が現れ、オルフェオの嘆きに心を動かされ憐れみ、彼が黄泉の国に行って妻を連れ戻すことを許すと言います。ただし何があっても決してエウリディスを振り返って見ないこと、オルフェオはこの難しい試練に挑み、黄泉の国へと向かいます。 エリゼの園でエウリディスを発見したオルフェオは、エウリディスの姿を見えないようにして手を取り、地上へと向かいます。しかし、エウリディスは夫の態度に夫の愛が冷めたのではないかと怪しんで、それ以上夫についていこうしませんでした。絶望したオルフェオは耐え切れず、エウリディスの方を振り向きます。そのとたん、エウリディスは倒れて息絶えます。オルフェオは嘆き、そして短剣を取り上げて自ら自殺を決意します。その時、愛の神が現れ、彼を押し留めるのです。愛の神は「お前の愛の誠は十分示された」と告げ、エウリディスは再び息を吹き返すのです。 ピナ・バウシュはドイツのコンテンポラリー・ダンスの有名な振付家です。ドイツ表現主義の演劇的手法を取り入れたピナ独自の舞踊芸術は演劇とダンスを融合し、独自の世界観を構築しています。常時ダンサーとオペラ歌手の二人三脚で一人の人物を演じる手法はとても斬新です。又伝統的なオペラの舞台で、主人公がアジア人以外で、アジア人のオペラ歌手を採用するところもまたピナ・バウシュの舞台ならではなのでしょうか。絵画のように美しい舞台美術も必見です。前から二列目の席だったのですが、オケの奏者は意外にも、個々の休憩時間に楽しそうに会話をしながら演奏していることを知りました。]]>