ジャン・ジャンセン デッサンについてQ&A
Q デッサンをする理由は?
A まずデッサンが好きだからです。子供の頃は想像すると自動的に手が動いたものです。13歳まで、画家のアリエール・アドメジアンに自分の描いたデッサンを見てもらっていました。彼は実物を見ないで本質が語れないとよく言っていました。その助言は制作において、今でも大切にしていることです。想像よりも、実物の中に本来の想像の美が潜んでいることを教えてもらいました。
Q 絵の具などの素材はどのようなものを使っていますか?
A はじめの頃は鉛筆を使っていました。美術学校の石工デッサンでは、木炭を使っていました。裸婦像はまず鉛筆で輪郭を取り、その後にインクを使って力強さを加えています。その後、葦やマッチ棒を使って細くて、鋭い線を出したり、フラットな面やぼかしを出す方法も発見したのです。
Q 紙はどうですか?
A 昔はどんな種類の紙でも使ってみました。最終的には鉛筆やインクと馴染みのいいものに限定して使っています。インクだったらブリストル紙、鉛筆だったらカンソン紙といった具合に。
Q デッサンをすることは画家にとって大切ですか?
A もちろん私にとっては、絵画の基礎でもあります。いつもデッサン帳を持ち歩き興味のあるものを新鮮な眼差しでスケッチする。そしてアトリエに戻り、モデルを前にしてもっと大きな紙に発展させていくのです。実際大作のために描くデッサン以外で素描をすることは滅多にありません。この世に線というものが存在しないように、デッサンはあくまで画家にとっての線を使っての解釈でしかないのです。線の痕跡や縺れを観察すると、本質がより深く理解できるようにおもいます。表現の向こうに、それぞれの画家の感情や思考が読み取れるのです。デッサンの表現力は、ものを写し出すというよりも画家の画風を写し出すのです。いいデッサンとはきれいに描く行為ではなく、画家の個人的な描写であり、表現力なのです。
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