フローランス・ミアイユの影の色
只今サンカイビでは、引き続き、フローランス・ミアイユの作品を展示しておりますが、展示内容は若干変更しております。
この小さめのサイズ(24×14cm)のシリーズは、いくつか並べて飾っていただいても楽しいですが、1点だけ掛けていただいても面白く、存在感があります。
一見すると普通の油彩画ですが、金箔を使用しているため、近くでご覧いただくと、装飾的で変化のある質感にお気づきになることでしょう。
この小さめのサイズでは、現在、夏祭りの夜をテーマにしたシリーズを中心に展示しております。
セザール賞を受賞したアニメーション作品、「ある8月の第1日曜日」に近いテーマと雰囲気のシリーズです。
「ある8月の第1日曜日」より
「ある8月の第1日曜日」は、原色を中心とした強い光の色と、深い闇の色とのコントラストが美しく幻想的な作品です。闇の中に浮かび上がる色彩豊かな人間模様は、しばしの舞台を楽しむと、すぐに闇の彼方へと呑み込まれ、また新しい色彩が現れては消えて行きます。目に見えるものと、見えないもの。その間に揺らめく濃い影が、私たち観客のイマジネーションを刺激します。ミアイユ先生は、官能的な豊かな色彩を持ち味とする画家ではありますが、同時に、黒という色にも物語を語らせることのできる画家なのです。
バーのカウンターの灯りの下に佇むカップル。背景の黒と、その下に滲む金箔。そして、このそっぽを向いた女性の表情がなんとも言えず良いです。2人の間にどんなドラマがあるのでしょうか。筆者お気に入りの1点です。
お気に入りの1品を探しに、どうぞ皆様もサンカイビへお出かけ下さい。