北京・大山子芸術区
ここは1950年代に中国人民解放軍の軍事工場、「798工場」だった場所で、2000年頃から中央美術学院の学生たちがアトリエを作り始めました。 その後、日本に留学していた画家・黄鋭氏が帰国して、再生プロジェクト「北京798芸術区」をプロデュースしたことを機に、欧米で高い評価を得た中国人アーティストが続々と帰国し、ここにアトリエやギャラリーをオープンさせ、現在その数は100以上。広大な工場跡地は最先端のアート発信基地として、世界の注目を集めています。 しかし実際のところ現在は、このエリアへの注目が高まるにつれて元々は安かった家賃も高騰し、実際にここで暮らし制作しているアーティストは少ないようです。 今回、5年振りに北京を訪れて感じたのは、現代中国の発展の速度の凄まじさでしたが、ここ大山子芸術区も例外ではなく、既に一通り消費されて、一段落付いてしまったような雰囲気でした。思った以上に商業的になっており、新しいアートがまさに生まれているというような躍動感は感じられませんでした。 純粋にアートを鑑賞するというよりは、全体的な雰囲気を楽しむ場所という印象を受けました。 とは言え、油絵、水彩画、水墨画、彫刻、インスタレーション、なんでもありの玉石混交で、古い建築や景観とアート展示の組み合わせは他で見られない面白さです。 興味深い場所であることは間違いなく、大勢の外国人で賑わっており、この日は前国連事務総長のアナン氏もお忍びで視察に来ていたようです。 現在も元の工場の名称を残し、別名、798芸術区とも呼ばれています。 工場は、旧ソ連や旧東ドイツなどの援助によって建てられたということで、質実剛健な雰囲気です。 天井には、毛主席万歳!と赤字でスローガンが書かれ、往時の空気を今に伝えています。 ほかにも細い路地にギャラリーやショップ、飲食店が軒を連ねており、全て見るには丸一日かかりそうです。 変化のスピードがとても早い中国。 また近いうちに訪れて、様々な変化を見てみたいと思いました。 ]]>