吉田直哉さんのこと
吉田直哉さんの追悼番組がNHKで放送されました。吉田さんには、結婚式の仲人をして頂いた関係で大変お世話になり、今年お正月にお邪魔したときは、とても元気なご様子だったので、訃報に大変驚きました。 番組を改めて拝見し、吉田さんは名ディレクターであり、クリエーターでもあり、また哲学者でもあったのだと感じました。自身の哲学を番組に反映させ、また制作者として常に新しい目を持って番組制作にあたられていたのでしょう。 吉田さんは、1957年からスタートしたNHKのドキュメンタリーシリーズ「日本の素顔」や「現代の記録」、そして大河ドラマ「太閤記」を手がけられ、歴史とドキュメンタリーをドッキングした手法で「社会科ドラマ」という新語をこの番組で誕生させました。 その後は、シリーズ「明治百年」、コンピューターによるアニメーションを主題にした「エレクトロ絵本」なども担当し、新しいツールにも躊躇することなく、積極的に関わってこられました。また、まだ若手だった武満徹氏を作曲家として起用したのも吉田さんでした。若い素晴らしい才能はお互いに惹かれ合うのだと感じます。 いつも少年のような目をして、おかしいことをおっしゃっていました。そして、奥様がそれに合いの手を入れる絶妙に息のあった会話のキャッチ・ボールがとても心地よく、いつも楽しい一時を過ごさせて頂きました。 社会がその場その場の消費を優先するあまり、テレビの質が問われている現在、映像の可能性を純粋に追求し続け、テレビの素晴らしさを伝えようとしてこられた吉田さんの不在はとても残念なことです。ご冥福をお祈り申し上げます。 ]]>