囘という字
『囘』という字は『えんがまえ』に『己』と書き『回』の旧字なのですが、昭和17年に標準漢字から外され、今は見ることのない幻の漢字となってしまいましたが、何かこの字に魅力を感じます。
人生は己を知ること『自分探し』の旅であるとある賢人はおっしゃっていましたが、まさにこの字がその意味を象徴しており、人生は順風満帆な○ではなくて、自分では抗えないことや出会いや別れがあり、たまにはゴツゴツもしながら、己としっかり向き合って生きなさい、と語っているかのようです。
作品をよく見ると、中国の陰陽マークが描かれているのはたまたま偶然なのか、篠田桃紅先生が意図して描かれたのか。小さな点は陰の中にも陽があり、その逆も真なり。この一文字の中に大宇宙と小宇宙を感じます。