建築家・休兵衛
さて、吉島邸に伺った理由は二つありました。一つはこの建物に篠田桃紅氏の作品が展示されているからです。吉島家と篠田家は遠縁にあたり、この建物が重要文化財に指定された時、篠田氏の好意で作品を吉島邸にお貸し出ししたそうです。二つ目は、最近読んだ本「建築家・休兵衛」の主人公で、この吉島邸の当主、吉島忠男氏に会いに行くためでした。吉島忠男氏について書かれたノンフィクションなのですが、あまりの面白さに「本人に会いたい」とおもったのです。吉島氏にお目にかかり、とても丁寧なおもてなしを受けましたが、本については「あれは読みものだから、著者が面白おかしく書いたんだよ。」と吉島氏は否定していました。しかし、そんなことはなく、まさに本の主人公がここにあり、とおもうぐらい破天荒な枠にはまらない人物ですが、とても愉快で紳士な方でした。 高山にお越しの際には是非吉島邸をお訪ねすることをお勧めします。 「建築家・休兵衛」 七代目休兵衛こと吉島忠男。本書は吉島忠男のたどる人生と運命と、建築デザインの一例を綴ったものである。いったい「建築家」とはなんだろうか? 「風天狂気」の7代目休兵衛こと吉島忠男。「吉島家住宅」に根をおろす彼の人生と生き方を描き、これからの建築デザインのあり方を考える。 伊藤鄭爾 著 1922年生まれ。1945東京大学工学部建築学科卒業。建築史家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) ]]>