時田良太朗先生
先週まで、時田良太朗先生が来日なさっていました。
サンカイビで来年の10月に予定している個展の打合わせのためでもあります。
時田先生は活1930年、九州生まれ。1969年に渡米し、以後アメリカに活動拠点を移しました。
「日本にいると細かい仕事がどうしても出来るし、人に会ったり、気が散って制作に没頭できません」と仰いますが、アメリカでは身の回りのことはご自分でなさりながらの制作活動です。
現在お住まいのアパラチア山脈を望むご自宅は、冬には深い雪に閉ざされるといいます。
夏は芝生の手入れ、冬は雪かきや暖房のための燃料の買い出し。
厳しい自然の中での制作活動ですが、同時にそれがインスピレーションにも繋がるのかも知れません。
今回拝見した新作は、仄明るい光を放つような白が基調のとても美しく静かな作品でした。
宇宙の調和を表現したい、と仰っている時田先生。
あくせくと目先のことに捉われがちな現代に、「調和」という概念が、本当は一番必要とされているのかもしれません。
今頃は、アパラチアでは紅葉も終わる頃、今日も時田先生は静かな時間の中、絵筆を握っていらっしゃることでしょう。
時田良太朗「生-0602」
紙にアクリル
61×46cm 2006年制作