片山雅史氏によるギャラリートーク@銀座三越
片山雅史氏のギャラリートークが銀座三越で開催された。片山氏は1984年、京都市立芸術大学を卒業。同大学院修了後1988年A.C.C.(旧Rockefeller 3rd Found)の招聘により渡米し、ニューヨークに滞在。以後90年中頃までシカゴと京都を拠点に活動。1995年文化庁派遣芸術家在外研修員として渡英、ロンドン大学ゴールドスミス校に在籍。帰国後1999年九州芸術工科大学(現九州大学)准教授に着任、現在に至る。活動初期は「風のなる日のために」と題された黒い筆致による抽象絵画を展開。その後1990年中頃より金地にシルエットの植物が描かれたHANAシリーズ、1990年代後半より視覚と記憶との関係に関心を持って制作された「皮膜」シリーズ、2010年より螺旋など主とした墨線の集積による絵画作品を発表、2018年「螺旋・蜜色の森」をテーマに銀座三越では初個展を開催。今展では皮膜・天上の花をテーマに神社やお寺の天井画からインスピレーションを受けて円の作品を中心に発表する。
今展のテーマの一つである「天上の花」と題した円形の作品を描くに至った経緯は、片山氏の近しい方の死がきっかけだったと言う。もともと花卉図と言われる天井画は未来永劫と続くユートピアを願い描かれたものらしい。片山先生の作品は現代に生きる曼荼羅のような小宇宙と大宇宙を兼ね備えた、とても優美であると共に哲学的で素晴らしい。色素色でなく、鉱物顔料から用いられる構造色を多く使用しているため、光によって見えてくる色が違っている。朝には朝の語りがあり、日が暮れて来て、空の暗さが増すとまた作品から別の語りが聞こえてくる、いくつもの顔を持った奥深い大変魅力的な作品群である。
さて、今展覧会のために一年かけて制作をしてこられた片山氏には主催者として心より感謝申し上げたい。
展覧会は11月26日(火)まで続きます。どうぞ皆さまお誘い合わせの上、ご高覧下さい。