篠田桃紅作品展@ギャラリーサンカイビ
ギャラリーサンカイビで開催中(7月30日まで)の篠田桃紅作品展が読売新聞の夕刊に掲載されました。
取材に来られたのは、読売新聞の文化担当、泉田記者。大きなリュックをお腹に抱え、マスクから覗くやさしい瞳からは人柄の良さが伺えます。数度に亘りご来廊頂き、電話でも色々な質問が飛び交い、普段からとても熱心にお仕事に取り組んでおられる方だと想像がつきます。メモを取る鉛筆も普通の人だったらとっくに捨ててしまうぐらい短い芯を削って最後まで無駄なく使う、ものを最後まで大切にする、今時珍しい方だとおもいました。
さて、お腹に抱えたリュック姿の謎を解き明かすべく、「泉田さんは外国で暮らした事があるのですか?」と質問をした。なぜなら日本ではなかなか見るスタイルではないが、私が幼少時代を過ごしたブラジルでは日常だったからです。ブラジルは当時治安が悪く、リュックを背中で背負うと引ったくりにあうので、腹側でガードするのです。結局は泉田さんの答えはNOで、美術館やギャラリーでリュックがモノに触れないようにする配慮だそうです。
この小さな記事の力なのでしょうか。ご来廊下さる皆さんの多くが篠田桃紅の作品に感動し、涙を流される方もいらっしゃる。なぜなんだろう、とおもったのですが、どうもこの感動の秘密は新聞記事を読んだところから始まるようです。「行かないと絶対後悔するとおもったから。」と遠方から杖をついてご来廊下さった90代の品の良いご婦人。「絵を描くことを諦めたけれどもう一度チャレンジしてみます。」とおっしゃる画家を志すデザイナーさん。「この間の展覧会で初めて観て、やっぱり欲しいとおもった。」と再来廊下さったイケメン男子。みんな必死に生きようとしているのです。それがアートの見かたにも変化を齎らしてるようです。
ギャラリーに行き交う人々みんなから紡ぎ出されるドラマがあります。そんな人々のドラマを垣間見ながら、「我を知る、人間を知る」という勉強をさせてもらえる贅沢が、この仕事の何よりの魅力です。コロナで社会が様変わりしましたが、「今」を大切に生きることをコロナが教えてくれたのかもしれません。
篠田桃紅作品展
2020年7月9日〜30日(日休)11時〜18時
ギャラリーサンカイビ
東京都中央区日本橋浜町2-22-5-5
Tel:03-5649-3710
http://www.sankaibi.com