篠田桃紅展@高松三越
墨を使った新たな表現方法で、世界のアートシーンに影響を与え続ける孤高の美術家、篠田桃紅氏105歳。墨の濃淡や陰翳のあやに揺らぐ文字やかたち、そして普遍的な美を追求し、その作品は世界中のコレクターを魅了してやみません。今展では、桃紅創作の原点ともいえる「玄」をテーマに、百人一首や万葉集などの古典の書やさまざまな表情をみせる桃紅の墨象作品、そして手彩色を施した版画を一堂に30点展観いたします。
存在のもとは、さびしく幽かなもの。
老子はそれを「玄」といい、くろ、それは真黒でなく、幽かに明るいくろ、といった。
墨という道具は、その表現のてだてとして何千年の歳月を歩んできたらしい。
子供のころ、父から最初にあてがわれた墨に「玄之又玄」と銘があった。
私は「玄」も「老子」も何も知らずにおとなになり、墨に親しみ、墨になじみ、墨をたよりにし、墨に誘われ、操られ、惑わされ、裏切られ、また墨に救われているうちに老いた。
だが、まだ墨とのつき合いは終わらない。
「桃紅ー私というひとり」より
篠 田 桃 紅 作 品 展
玄 - 105歳の軌跡
会期:11月20日[火]-26日[月]
※最終日は午後4時30分閉場
会場:高松三越 本館5階美術画廊