芸術と微分
福岡伸一氏の著書、「フェルメール 光の王国」の中で、芸術と科学の共通点を以下のように表現していたので抜粋します。私たちの可能な限りの穿かない表現方法である芸術を、端的に記しているとおもいます。
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《微分》というものは、実は何も難しいものではありません。高校の教師はかつてそう私に語った。《微分》というものは、動いているもの、移ろいゆくものを、その一瞬だけ、とどめてみたいという願いなのです。カメラのシャッターが切り取る瞬間。絵筆のひと刷きが描く光沢。あなたのあのつややかな記憶。すべて《微分》です。人間のはかない“祈り”のようなものですね。微分によって、そこにとどめられたものは、凍結された時間ではなく、それがふたたび動き出そうとする、その効果なのです。
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「フェルメール 光の王国」 福岡伸一著 木楽舎刊
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