雨ニモマケズ
松山三越の篠田桃紅作品展で知り合ったF様は70過ぎのエネルギュッシュなとても不思議な魅力のある女性でした。「私はアートが好きでよく東京にも展覧会を観に行くけどみるだけね。」と念を押し、篠田の魅力を力説してくれた。とても感性のいい方だというのが私の最初の印象でした。松山市内にお住まいで、以前は養護学校の先生をなさっていたらしい。会期中3度程会場をお訪ね下さり、段々気持ちが通じあうようになり、最終日に期待を裏切り?「これもらっとく。」と作品を購入下さった。その作品はまさにF様のような作品で、可愛らしく遊び心のある作品でした。カタログをプレゼントしようとしても「あなたが損するのは嫌だから買うわ。」とこちらの立場を労わる。宮澤賢治の「雨ニモマケズ」の前半を地でいく女性、私もこんな年を重ねたいとおもいました。
因みに以下全文です。
〔雨ニモマケズ〕
宮澤賢治
「雨ニモマケズ」
雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
慾ハナク
決シテ瞋ラズ
イツモシヅカニワラッテヰル
一日ニ玄米四合ト
味噌ト少シノ野菜ヲタベ
アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ
野原ノ松ノ林ノ蔭ノ
小サナ萱ブキノ小屋ニヰテ
東ニ病気ノコドモアレバ
行ッテ看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ
行ッテソノ稲ノ束ヲ負ヒ
南ニ死ニサウナ人アレバ
行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ
北ニケンクヮヤソショウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイヒ
ヒデリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ